1月に入った。
今月は私の職選だ。
2月に入社して現在に至るまで2度職選を通過している。
どちらとも2つの選択の中から上の階級を進んでいる私にはかなりのプレッシャーになった。
固定給も半年までは15万、半年以降は8万という規定になっているので是非とも無理をしておかなければいけない月なのである。
今回も現状維持か1ランク上の2つの選択になっている。
あぁ、0件が今となっては実に痛いものである。
誰か保険やってくれるお人いないかなぁ・・・
顧客台帳とにらめっこしながら考える。
みんな断られてしまった人ばかりなので設計書の枚数は一向に増えない。
(あっ、そうだ・・・)
弟に1件、知人に1件契約をもらった。
まだこれでも件数が全然足りない。
6件中まだ4件も残っている・・・
あ〜、とれない、とれない・・・
職選の月ばかりは小橋リーダーも気になるらしく、
「のり子、今月の調子どう?件数うまりそう?」
と声をかけてくれた。
「ダメです。見込みがなかなかありません」
「そうか、とりあえず締め切りまで頑張って動こ!私もいろいろ援助するから」
彼女のマネージャーらしい言葉に感激した。
営業の仕事は1度足を止めてしまったら最後。
あきらめてしまってはその月は終わってしまう。
頑張らなければ・・・
締め切り前日。
どうしても成果があがらなかった私に小橋リーダーは声をかけてきた。
小橋「のり子、ちょっとお茶でもしようか」
一緒に喫茶店にはいった。
小橋「のり子、今月はよく頑張ったね。成果は上がらなかったけど私が一番あ
なたの事分かってるから」
小橋リーダーのその言葉だけで充分だなと思いました。
精一杯動いたもん、それを分かってくれれば。
試合に負けたけどすがすがしい、そんな気分でした。
小橋「あとの件数私が準備したから、安心しなさい」
設楽「えっ・・・・・!!」
小橋リーダーは始めから私が取れないとでも思っていたのか、足りない件数ぴったしにつける為の契約を用意していたのである。
(私の苦労はなんだったの・・・?)
面白くなかったものの、やはり給料の事に目がいってしまい結局つけてもらった。
なんともいえない罪悪感に苛まれて・・・
楽な道を選んでしまった私。
後々、これが自分の首をしめる事になるなんて・・・
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