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たくみの営業暴露日記?〜第2部〜(6)
あ次の休日の午前。加藤はいつも回っている地区に「飛び込み」ではなく、珍しく「買い物」というお客の立場、パソコンを購入するが為に来ていた、私服で。 (今日こそはPC買わないと…) 先週は思い掛けなくお客さんに捕まり仕事をする事となってしまったが為、今度こそは、という気合は相当のものであった。取りあえずパソコンで有名な某有名店へと向かっていた。 「あれ?加藤さん??」 ふと声をかけられた方向を見ると、普段ちょくちょく寄っている服家の店員であった。 「あ、どうも〜」 何故に同じ道を、と思う読者の方もいるであろう。が、パソコンショップへの道はどうしてもこの道を通らざるを得ないのである。 (うわ…先週と同じパターンかよ…) 案の定、30分近くも路上でしゃべる事になってしまった。 (これはマズい。このパターンは先週の二の舞いではないか…) そんな不安を胸に、少々はや歩きをして目的地へ向かう。 (おぉ、今日は辿り着く事が出来そうだ) と、ホっと胸をなで下ろしたその時、先週は辿り着く事のなかった未知なるゾーンより、声がかかった。 「あれ?加藤君?」 ふと声をかけられた方向を見てみると、普段ちょくちょく寄っているリサイクルショップの奥さん。が、この時点で加藤は何の警戒もしていなかった。 (あぁ、北さんの所か。ここは1年以上顔出しはしてても社長さんとは全くといっていい程会話出来ていないし、殆ど奥さんともしゃべっていないからなぁ) 「今日はどうしたの?私服で」 パソコンショップはもう間近という事もあり、加藤は先週の出来事も踏まえて状況を話し出す。まさかこの事が大きな転機になる事等は予想せずに。 一通り話し終わり、立ち去ろうとしたその時、普段はまず話し掛けて来ない奥さんが目の色をかえてしゃべりだす。 「え?パソコン買いに来たの?パソコンならうちの人詳しいよ。一度話聞いてみなよ。ま、来て、来て!」 (えぇ???) 半ば強引に店の中に連れられ、奥さんが北さんに状況説明をしだす。普段は寡黙な北さんの目がキラリと開き、今まで見た事のない雰囲気の元、話し出す。 「ん?何、パソコンを買いに来たのかね」 一瞬何かの聞き違いかと思ったが、結果的にこの言葉はそのままの意味であった。 「まず最初のPCは、Macがいいな。で、最初は中古で十分だ。予算は…20万くらいか。取りあえず2台購入するか」 もう全く一方通行に近い会話となっている。 「滅茶苦茶パソコン詳しいんですね、北さん」 この一言により、北さんは非常に饒舌に話しはじめた。 その後北さんの店に戻り、パソコンの設定やら何まで全てやってもらった。 「そういえば加藤君は、、、保険屋だったっけ?」 その後の流れは省略とするが、この出来事をきっかけにこの北さんとは非常に長い付き合いをする事となり、加藤の営業生活において非常に重要なキーパーソンの役割を果たす事となる。 翌々日。 「おぉ、加藤。お前休日も仕事してたのか。凄いな〜。お前は営業の鏡だよ。皆見習ってくれたらなぁ」 当然、営業をしようと思って地区を歩いていた訳ではない。 また、人とはホンの些細なきっかけで急激に親しくなるものである、という事も勉強した気がした。 この時期を境に、加藤は地区からの紹介案件が数多く出るようになっていった。 <挿話> 北さん(仮名)としている方との付き合いは…異様に長く、今現在でもつき合いがあるくらいです。実際、この人とのつき合いがなければ今のネット上での仕事なんぞ当然やっていなかったでしょうね。(早乙女師匠…といって分かる人はいるかな??昔ちょくちょく裏病棟に来ていた常連さんです) 電子書籍にも謳っている事なのですが、いわゆる「地区の顔」としてある程度の人と知り合いになると、とたんにドミノ倒しのように契約が転がり込んで来ます。不思議な感覚ですが、極端な話「普通に地区を歩いているだけで仕事になる」という状態。。 ただし、ある意味プライバシーはなくなります、この地区では。 ここらの時期が…2番目くらいの絶頂期でしたね。
【とある休日(2)】
「今日は何やってるんです?私服で珍しいですねぇ」
「あ、ちょっと買い物に…」
買い物への執念が神に伝わったのか、先週捕まったポイントを次々にクリアしていく。
「いや、実は…」
「え、えぇ」
「で、目的は何に使うの?」
「ま、特に目的というモノはないんですけど、インターネットをやってみたいかなぁ、と」
「何か目星とかつけてるのかね」
「い…いや、まぁ見て選ぼうかなと思って」
「…素人が見ても全く判断は出来ないね。(少々考えて)よし、んじゃこれからパソコンを見に回るか。おい、お前(奥さんの事)、店今日は頼むぞ」
(今日は頼むぞ?今日は??)
(えぇ?何故に2台になるんだ??)
「後は、プリンターにLANを設定して、と。ソフトは…これをいれておけばいいかな」
実に回った店の数は10を優に超え、訳の分からないまま荷物が増え続ける。
この街にこれだけの店があったのか、と驚く程、クタクタになるまで歩き続けた。
店を回りはじめて3時間経過、休憩という事で喫茶店に入る。
加藤は、というと、殆ど相槌を打つ程度で、2時間程しゃべりっぱなしだったのを記憶している。それこそ今まで殆どしゃべらなかったのが嘘のように、水を得た魚のような表現ぶりにただただ驚くばかりだった。
「は、はい、そうです」
(と、1年顔出ししていてもこの程度の認識で全くといっていい程保険の話は出来なかった所であった)
「丁度さ、うち○×生命だからさぁ、切り替えないといけないと思ってるのさ。時間は今日大丈夫?大丈夫だったらこれから家来て保険診てよ」
「は、はい」
「後会社の保険もあるからさぁ、それも一緒に診てよね」
「りょ、了解です!」
翌日、成果発表。
が、少なくともその地区においてはかなり顔が売れており、歩けば誰かが声をかけてくる、、まるで芸能人のような立場に気がついたらなっていたと、この2回の休日外出で認識した加藤であった。
歩いてたら声かかる訳ですから。。
(世間とは狭いもので、競馬場にいっても何故かバレて、「昨日、○○にいただろ?」なんていわれる程)
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