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診断の実際〜貯蓄編〜 |
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◇ 元本保証にむらがる日本人 日本人ほど、「元本保証」の言葉に弱い民族も珍しい。 それがどうした、と思っている方、次のケースを考えてみよう。 a) 銀行預金: デフレの今はともかく、昔から預金金利はインフレ率に追いつかない。つまり、長期で預金資産を保有していると、ほぼ確実に資産の実質価値が目減りする→実質元本割れ確定 b)
予定利率固定型の保険商品: 予定利率の高い時に加入すれば、かなりの貯蓄効果があるはずだが、固定された予定利率に、
運用実績が追いつかなければ逆ざやとなり、生保自体の資産が痛んで破綻する。→情報開示や監督当局の規制がしっかりしている国の商品以外は、危険。(日本は既に論外) c)自称元本保証: 日本人の素人心理につけこんで、元本保証性を強調した金融類似商品。格付の高い銀行保証や、一流のカストディー銀行
がついているわけでもなく、その零細企業が事業をたたんで逃げてしまえば、元本は戻らない。 d)長期外貨建て運用商品の満期時元本保証: リスクフリー金利自体が、円よりも数倍高い外貨建て商品の場合、満期時に元本が戻っても、機会利
益の喪失は大きい。また、期中に解約すれば、元本割れの可能性も。 e)
条件付元本保証商品: 言わずと知れた為替予約条件付、インデックスリンク債、EBなど、顧客がデリバティブの売り手となる商品。顧客に最も不利な条件下で、元本が償還されるため、限りなく大きな評価損を抱える危険あり。意図的に、顧客に不利な展開となるよう、大手金融機関が相場を操作したケースも。 e)
元本保証コストが高い商品: 元本保証に、多額のヘッジコストがかかるため上昇時の機会利益が著しく損なわれる商品。長期の資産運用には不適。
上記の中で、仕組と内包されるリスクさえ、正確に把握できていれば、時に大きな武器になるのがd)のケース。最悪でも、満期時には元本が戻ってくるため、自分の外貨建て生命保険の運用先として、PPB(Personalized Portfolio Bond)の一部に組み込むのも一考である。 あるオフショア商品は、定期的に募集をかけるが、必ず、格付がAA格以上の大手銀行の保証がつく(間違っても、日本の銀行が選ばれることはないので、ご安心を)。 この手のファンドは、国内富裕層を対象に、口コミ・チャネルで売られているが、なぜか、次のリスク説明は少ないと聞く。 とは言え、日本の「元本保証型ファンド」のいくつかが、あっと言う間に安定運用決定の烙印を押されてしまったのと対照的に、歴史のある優良ファンドで、そのような最悪の事態が起こるのは稀である。
Q) 今回は特になし
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