ある日、小橋さん(私の導入者)から彼女御用達の喫茶店に呼び出しがかかった。
入社してから殆ど話しをすることはなかった。
というのも彼女は『優績者』という事で会社でも一目置かれている人だったのである。
(『優績者』といわれる人は崇められるというしきたりが有る。まぁ宗教とか
マルチとかの上の人を崇めるのと同じ感じ。もしかしたらうちの営業部だけ
かもしれないが)
入社して数カ月の自分が呼びだされるなんて、なんだろうとドキドキしながら待ち合わせの喫茶店に向かった。
小橋「さっ、何でも好きなもの注文しなさい。あっそうだ、お昼まだでしょ?一緒に食べ
ましょ!」
設楽「ありがとうございます」
小橋「もう入社してどれくらいたったかしら?設楽さんの事は陰ながら応援してるのよ」
設楽「入社して半年ぐらいたちました。だいぶ仕事にも慣れましたし、川上リーダーと
うまくやってます」
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しばらくの間こんな世間話しをしていた。
久しぶりに小橋さんと話し、内心嬉しかった。
私の事気にかけてくれてたんだと思った。
いきなり彼女は話しを急展開させてきた。
小橋「実はね、今日はとてもいい話があってきたのよ。来月から私育成リーダ
ーに抜擢されるの。これで設楽さんと同じチームになれるわよ」
設楽「えっ?そうなんですか。とてもうれしいんですけど、川上リーダーと離
れるのも少し寂しいですね。今までいろいろお世話になったし・・・」
小橋「あら、そんな事気にしないで。拠点長とはもう話しあいが終わってるか
ら。この仕事をやるからにはすばらしいリーダーに育成されて、トップ
セールスレディになりなさい。私が全部教えてあげるから」
こうして小橋さんが導入した私を始め、前田・畑口さんなどが彼女に引き抜かれ、小橋チームが設立された。
育成期間中にチームを移動する事は滅多にない。
私は『選抜された』と思い、当時はこのことを誇りに思っていた。
この時は会社の事情、小橋さんの事情、etc...
様々な事情に何一つ気付くことは出来なかった。
今思うと、この時が私の大きな分岐点だったかもしれない・・・
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