月はみんなやる気をなくす月でもあります。
お盆もはいるし、なんていったって、重大月の次の月になりますから。
こういう月のみんなの過ごし方は、いっきにダラダラモード。
先月成立できなかった契約を今月にまわす人、何も契約はないけどダラダラする人etc…
みんな大抵は仕事をする気はまるでナシ。
そんな月、のり子は頭を抱えていた。
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【7月戦終了後の1週間後の出来事】
内勤さん『設楽さん、ちょっといいかなぁ?』
のり子 『は〜い、(パタパタ)』
内勤さん『今月の控除の契約の事なんだけど、知ってる?』
のり子 『えっ、控除ですか??いや知りませんけど…』
内勤さん『実はかなりの控除件数なのよ。ちょっと見てくれる?5.5件あるんだよね』
のり子 『マイナス5.5件?!嘘??』
内勤さん『今月は、これだけの数が未収金になっているから、今月以内に保険料の振込みがないと、契約落とすわよ』
のり子 『・・・』
(何で?名前を見ても、覚えが全くない。私、こんなにいっぺんに落ちる契約とってないよね..まさか...。)
あわてて小橋リーダーに確認をとってみた。
【小橋リーダーの元へ】
のり子『あの・・この契約って、どうなっているんでしょうか?』
(内勤さんから貰った控除予定の契約の紙を見せる)
小橋『あっ、これね。ごめんな〜、これ保険料の払込ができないらしくて、契約が落ちるから。
まあ、こんな月もあるから。のり子、マイナス件数の合計まだ少ないから、そう落ち込まないでがんばろうや、な!』
のり子(マイナス件数、少ないって…5.5件は…みんなそんな感じ…なのかなぁ……)
今月のマイナス件数は締め切り後分かるようになっているので、その月マイナス件数の多い営業職員はマイナス件数のうめあわせからはじまります。
当然その月の給料も下がっていくのだが、マイナス件数によっては、今月は契約をとる事をやめて来月にいれこもうとする職員もでてきます。
(同じ3件という契約を取るにしても、控除がある時に3件とるより控除がない月に3件とる方が給料がかなりよくなる為)
…しかしマイナス件数5・5件。
一般の職員では、まずこんな件数がでる事はない。
営業所全体の成績にも大きな影響を及ぼす為、上司からも口やかましく聞かれるものであるんです。
案の定、営業部長の呼び出しもかかりました。
営業部長『設楽君。ちょっと..』
朝礼後、1番に呼び出された。
部長 『今月のこのマイナス件数だけど、どうなってる?本当にこれだけの契約が落ちるのか?』
のり子『すっ、すみません。お客さまの御都合で、契約の続行が不可能で、、。』
部長 『..とにかく、もう一度お客さんの所にって、確認してこい!!』
確認といっても、会った事のないお客さま。
小橋リーダーにもああ言われたし。
もしかして、はじめから落とす契約だったのでは、、。
のり子に不安がよぎった。
初回の保険料を小橋リーダーが立て替えして、あとは払い込む気がなかったのかもしれない。
<設楽の回想>
確かあの契約は、昇進月に入れこんだ契約だよね。
私が昇進すれば、小橋リーダーにもいくらか手当てがつくはずだし。
…でもまさかはじめから落とす契約を人につけるわけないよね。
だって、1年後のマイナス件数によって、私の給料も変わってくるんだから、そんな事ないはず、、。
でも、、畑口さんのの言葉が頭の中をかけめぐった。
畑口『私達なんか、今までつけてもらった契約全部2〜3ヶ月で解約になったり減額になったりばっか。
おかげで給料も下がりっぱなしで夜もバイトしてるんだから!』
ま、まさか、ね…そ、そんな事あるはずない…わよね……
…こんな事を考えながら、契約をとる事もなく、8月は終わっていった。
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